「森と水のつながり体験講座」実施しました


 夏休みが始まりました!7月23日に開催された「森と水のつながり体験講座」についてレポートします。「森と水のつながり」をテーマとして、香川大学名誉教授増田先生をお招きして、「座学」「森散策」「実験装置作り」を行いました。暑い一日になりましたが、15名の親子が参加くださいました。

【早明浦交流プロジェクトの紹介】



 プロジェクトが始まったのは1994年(今から28年前!)。当時、早明浦ダムが「貯水ゼロ」になり、給水が「1日5時間」の日が1か月も続きました。この年に、高知県大川村にある「交流の森」にて、水源の森づくり活動が開始されました。 その後、毎年7月に、「植樹」「ダム見学ツアー」「渓流遊び」「こんにゃく作り」「大川牛のBBQ」「早明浦ダムに沈んだ大川村の話」「クラフト作成」など、1泊2日の楽しいツアーを開催しています。
 残念ながら、新型コロナウイルスの影響で、ここ数年ツアーは中止です。今回は早明浦交流プロジェクトのご紹介に留まりましたが、来年には再開できるといいですね。

【「森と水のつながり」講義】



 森に雨が降り川(海)に流れるまでを例に、「水の循環」について話は始まりました。森林に降る雨は「直接、地表面に達する(直達雨)」と、「葉が受け止め、葉の先端から落ちる(滴下雨)」と「幹を伝って流下(樹幹流下)」の3種類の方法で地面に達します。さらに、川へは「地表面を伝わる(地表流)」と「地面に染み込み、地中を伝わる(地中流)」の2種類の方法で川(海)に流れ込みます。つまり、森林は、雨を一度受け止め、時間を掛けて川や海へ移動させます。これが森林の保水機能であり、雨流出の「ピーク低下」「時間延長」の効果があります。まさに、緑のダムであり、水害(洪水)を抑制し、渇水を緩和する機能があることが分かりました。
増田先生の楽しい講義は、資料・クイズ・実験装置などバラエティ豊かで、親御様が大きく頷く場面も多く、あっという間でした。また、沢山のトピックをお話いただきましたので、その一部をご紹介します。

【トピック:治山治水の先覚者「金原明善」】
静岡県天竜川は、毎年のように氾濫していました。そこで、金原明善は、森と川の関係について勉強し、「洪水を抑える(治水)」のために、「大雨が降っても水が一気に出てこない山、土砂崩れが起きない山にすること(治山)」が必要であることを知り、植林や林業に取り組みました。
【トピック:2004年の香川県水害】
2004年10月台風23号の襲来で、さぬき市や大野原町で、一晩に400ミリを超える豪雨があり、多くの土砂災害が発生しました。その後の調査で、土石流が発生した地域に「ハゲ山に近い荒れた山」や「間伐が遅れたヒノキ林」があったのに対し、土石流が発生しなかった地域では「間伐が行われ、低木や草が生えたヒノキ林」が見られました。
【トピック:高知県土佐町の森づくり】
高知県土佐町では、「豊かな森林づくり」を目指し、モデル林を設定しています。豊かな森林として、「緑のダム機能」「木材の生産力が高い(経済的機能)」「多くの樹種で構成」「野生鳥獣が住める」な森林づくりに取り組んでいます。

【ライシメーターによる実験】



 ドングリランドの森林に入る前に、ライシメーターによる実験が行われました。ライシメーターは、土壌の水分変化や流出水量を測定する装置で、今回、左から「森林」「草地」「裸地」を模したライシメーターを用意しました。それぞれの箱の下部には水の出口(地表面×1、地中×2)があります。
 ライシメーターにジョウロで雨を降らせるとどうなるでしょうか。「裸地」は、いち早く、地表面から濁った水が大量に流出します。一方、「森林」は葉が受け止め、その後地面に浸透するため、時間を掛けて流出します。そのため、地表面だけでなく地中から、キレイな水が流出しました。実験は大成功!増田先生の講義で学んだ、「森の保水力」を実際に見ることができた瞬間です。

【散策による森体験】



 いよいよ、森の散策です。途中で足を止めながら「黒松と赤松」「クヌギとアベマキ」、その他のドングリの木について増田先生の解説を聞きながら、実際の木や葉を見ることができました。その一部をご紹介!
・赤松と黒松の葉の違い:赤松は柔らかく、黒松は硬い
・スギ、ヒノキ:スギの葉は尖っており、ヒノキは平べったい
・クヌギとアベマキ:アベマキは幹が凸凹コルク質で葉の裏が白い
コブシ坂の途中でも、「森林」を想定した雨の実験をしました。今回は、「ドングリの葉の違い」が分かる資料と、実際のドングリセットもプレゼント!(この時期のドングリは非常に貴重なのですが、子供達に伝わったかなぁ。。。)

【実験装置作り】



 ビジターセンターに戻り、ペットボトルによる「ライシメーター」作りを行いました。
〇1つのペットボトルは「裸地(カチカチの地面)」
〇1つのペットボトルは「森林(腐葉土の柔らかい地面)」
ペットボトルに窓を開け、土を入れて、カチカチに固めます。一方の柔らかい地面は、ミミズの気持ちになって、ハシでホジホジします。実験装置が出来たら、外に並べて、実際に水を流します。森林のペットボトルは、水を受け止め、時間を掛けて、キレイな水が出てくるはずなのですが・・・・・実験成功の子もいれば、思った通りに行かない子も。実験装置を改良できたら、ドングリランドに見せに来てくださいね。

【最後に】

 ドングリランドでは、大人向け、お子様向け、様々な「森づくり」を目的とした、「クラフト体験」「環境学習」「森林体験」を実施しています。8月のお子様向け「むしむし探検隊(標本作り)」、大人向け「のんびり森さんぽ」「森のガイド養成講座」が、申込み受付中です。(7月24日9時現在)ご興味のある方は、どんぐりネットワークに問合せるか、ネットでお申込みください。
以上