ホタル見会(6月4日、11日)開催しました

 6月4日(土)、11日(土)に開催した「森の季楽教室 ホタル見会」についてレポートします。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となりました。当初は、6月4日(土)1回の開催予定でしたが、受付開始初日の午前中で満員になり、数日でキャンセル待ちが10名を超える事態に。そこで6月11日(土)の開催を急遽決定しました。結果、41名(4日=24名、11日=17名)の皆様がホタルを見るために参加くださいました。


1.竹ランタン作り
 まだ明るい夕方5時に集合。スタッフ紹介の後、本日のスケジュールを説明します。工具に不慣れな参加者を想定し、「難しい工具(電動ドリル、ノミ)」はスタッフが実施することとしました。また、竹ランタン作りに飽きてしまう子供を想定して、「塗り絵」や「紙芝居」を準備していよいよ、竹ランタン作りからスタートです。いざ始まってみると、大半の子供達が、最後まで竹ランタン作りに熱中。お父さんが竹を力強く支え、子供は必死にノコギリを引きます。お父さんは子供の手先に注意を払い、危ないと手を止めさせてアドバイス。お母さんは一歩下がってその姿をニコニコしながら撮影しています。スタッフも思わず、笑みが移ってしまいます。その一方で、気難しい竹と格闘する親子や、道具に慣れない家族は大苦戦。すかさず、ボランティアスタッフがサポートします。ノコギリで竹を切り落としたとき、ナタでパカっと竹が切れたときに、わっと歓声が上がります。そして竹ランタン作りは終盤へ。小刀で納得いくまで仕上げをするのは、凝り性のお父さん。最後まで子供達も竹ランタン作りに熱中してくれたおかげで、「塗り絵」や「紙芝居」の出番はなく、全員竹ランタンが完成しました。すかさず集合写真をパチリ。アンケートでは「初めてノコギリを使った」「竹ランタン作りが楽しかった」という声も。「自然に囲まれて」「天然素材に直接触れて」「親子一緒で」楽しめる場の提供は、ドングリランドの重要な役割だと再認識しました。


2.ホタルの話
 しばし休憩を取っていると、夕闇が近づいてきました。ここからホタル博士による、ホタルの話が始まります。まずはホタルクイズ〇×から。
Q1)ホタルはオスだけ光る
Q2)飛んでいるのは全てオス
Q3)メスは卵を100産む
Q4)ホタルは触ると熱くて危険
Q5)ホタルはご飯を食べない
Q6)ホタルはキレイな川にしか住まない
正解は、どんぐりネットワークにお問い合わせください。1問ごとに子供達から歓声が上がりますが、全問正解者はゼロ・・・どうやら全問正解率は0.1パーセントと相当難しいようです。次に、ホタルの生態へと話は続きます。一部を紹介します。
〇ゲンジボタルの幼虫は、カワニナを30匹食べる。(カワニナのいないところにホタルはいない)
〇カワニナの餌は人間の残飯や野菜。(ホタルは山奥の清流ではなく、人里近くに住んでいる)
〇オスは発光部分が大きく活発なのに対し、メスは体が大きく茂みにじっとしている。
〇4月第1週の雨降りの夜、幼虫が上陸しサナギになる。(今年は、4月第1週に雨が降らなかったためホタルが上陸できず少ない。3~4年に一度はこのような年がある)
後半は、質問タイム。お父さんを中心にホタルが生息する環境を中心に次々と手が挙がります。
●産卵日からの日数で幼虫・成虫になる日が決まり、毎年大体5月25日頃からホタルが飛び始める。
●ホタルがいない場所は、天敵(カエル/イモリ/ヤモリ/鮒/鯉。一番は蝙蝠)が多い可能性
●川があっても、サナギになる土がないとホタルになれない
●コンクリのU字工は幼虫が登れるが、瓦は流れてしまう
●ホタルの成虫は2~3週間の命。100~200メートルのエリアしか飛ばない。
質問は尽きることがありません。ホタルの話が盛り上がる中、徐々に暗くなってきました。


3.ホタル見学
 日暮れが訪れ、いよいよホタル見学が始まります。竹ランタンに明かりをつけ、ビジターセンター内も消灯。柔らかい明かりがポッと灯り、なんとも良い雰囲気。各自で撮影タイム。
スタッフを先頭に、竹ランタンを持って親子仲良くホタル見学に出発!トンボ池に到着したところで、竹ランタンを消灯し、じっとホタルを待ちます。ホタルは現れず、ガッカリした空気が漂い始めたころ、トンボ池の奥に小さな明かりがポツリ。しばらくすると、目の前の木の枝がボワっと点灯。ホタルが来てくれました。さらには私達の頭上をホタルが飛び始め、子供達は大熱狂。竹ランタンに再び明かりをつけて、ビジターセンター周辺の沢に向かいます。ホタルが手の平に舞い降りるサービスもあって、ホタル見学は最高潮の盛り上がりを迎えました。(人間の手の平は、ホタルには熱いようです。スタッフの手袋の上に止まってくれました)熱狂する子供達が沢に落ちないよう注意しながら、3分間の「サイレントタイム」を楽しみ、ホタル見学は終了しました。6月4日(土)で30匹以上(ビジターセンター周辺が多)、6月11日(土)は悪天候ながら20匹以上(トンボ池周辺が多)のホタルを観察できました。ビジターセンター周辺とトンボ池で、気温や環境が異なるのかも知れません。ホタル博士の話を元に、来年のホタル見会のスケジュールを検討していきます。

4.最後に
 竹ランタンは、親子で楽しくクラフト体験できる上に、ホタル見学の雰囲気作りに大いに貢献してくれました。後日、家族の団欒でホタルが話題となり、子供達が竹ランタンを持っていたら・・・と妄想しています。また、ホタル博士は、長年ホタル研究・観察に従事しており、参加者の質問に対しても淀みがなく、解説にも説得力がありました。今回ホタル博士には、「親御様を想定した環境学習」となるような講座として依頼していたのですが、期待通りの結果となりました。今年、ドングリランドのトンボ池はアカハライモリが多く、ホタルの幼虫が捕食された懸念もありましたが、6月11日にはトンビ池周辺でも沢山ホタルが飛んでくれました。年々、ドングリランドの環境は変化していきますが、10年後・20年後もホタルが見られる里山にしたいと改めて考える貴重な時間となりました。ケガ人も出ず、大盛況の「ホタル見会」となりました。今後も、「子供達に里山体験の思い出を作って欲しい」「お父さん・お母さんが自然と過ごす場にしたい」そのような思いで運営していきます。
以上