ナラ枯れは「木を使わなくなった現代病」?(1月22日(日)ナラ枯れ学習講座)


 コナラやミズナラなどのドングリの木が大量に枯れる「ナラ枯れ」が、日本全国で見つかっています。香川県でも2019年頃に小豆島でナラ枯れが確認され、徐々に拡大、ドングリランドでも遂に昨年「ナラ枯れ」が見つかりました。

急速に拡大しつつあるナラ枯れについて知って頂くため、1月22日(日)ドングリランドにて、香川大学創造工学部の小宅先生をお招きして、ナラ枯れとは何なのか?を知って頂くための学習講座を開催させて頂きました。



・講師:香川大学創造工学部助教 小宅由似 氏
・主催:香川県
・企画運営:特定非営利活動法人どんぐりネットワーク
・日時:2023年1月22日(日)9:30~12:00
・場所:ドングリランド

「ナラ菌」がドングリの木を枯らす



 ナラ枯れは、「カシノナガキクイムシ(以下、「カシナガ」と呼びます)」が媒介して広まっていきます。実は、カシナガ自体が木を枯らすのではなく、カシナガに付着した「ナラ菌」が原因。カシナガが森林にナラ菌を持ち込み、ドングリの木に産卵します。ナラ菌は木の中にまん延し、道管(どうかん。根から水分を通す役割)が目詰まりをおこして通水障害を起こし、枯死、つまり枯れてしまうのです。さらに翌年には、カシナガが羽化することで、森林内の次のドングリの木にナラ菌が広まっていきます。小宅先生の「ナラ枯れが発生するメカニズム」は分かりやすく、皆さん頷きながら聞いています。一方で、ナラ枯れはまだ不明点も多く、様々な学説があるようですが、「南西の斜面」「日当たりのよい急斜面」「大きなドングリの木」「特にコナラやミズナラ」がアシナガに狙われるようです。このようなドングリの木が紅葉の時期でもないのに葉が変色したり、アシナガが侵入した跡をみつけたら要注意です。



写真:カシノナガキクイムシが侵入した穴

伐採するなら春までに



 実際にドングリランドのフィールドを歩き、ナラ枯れの木を見学しました。スダジイの木に何か所もアシナガが入った穴があります。また木の根元には、大量の木くず(フラス)が。これは、「初期段階(アシナガの侵入)」から「産卵の段階」に入った証拠だそうです。しかし、このスダジイは枯れておらず、ナラ菌のまん延に耐えています。ナラ菌が入ったすべてのドングリの木が枯れるわけではないようです。しかし、人の往来が多い場所など、場所によっては伐採が必要な場合も。その際には、翌年にアシナガが羽化する前=春までに、伐採する必要があります。参加者の皆さんは、小宅先生の解説を聞きながら、ルーペでアシナガの穴を熱心に見ていました。(この穴の中に、アシナガの卵があるのかぁ。。。)

クルミの仲間やアオキが多い香川県の植生



写真:アベマキの枯葉。枯葉でも、裏の白い毛がよく見えます。

 ナラ枯れの木を目指して、フィールドを歩く途中、小宅先生から「香川県の植生」を解説していただきました。小宅先生が以前研究していた京都と比較すると、「(ノグルミなどの)クルミの仲間が多いこと」や「アオキが多いこと」が香川県の森林の特徴のようです。私達にとっては、当たり前のことが、他県と比較すると「香川県の特徴」になるのは、非常に面白いですね。ほかにも、ヤマコウバシ(山香ばし)の葉の匂いを嗅いでみたり、京都はアオキの若い芽が鹿に食べられてしまった話も。香川県でも、年に数回「迷い鹿」が見つかっていることなど、フィールドを使った小宅先生の話は非常に面白いですね(将来、香川県でも鹿が増えて、アオキが食べられてしまうかもしれません)。

ナラ枯れは「木を使わなくなった現代病」?

 ナラ枯れが見つかるようになったのは、1970年代以降。エネルギー革命が起こり、「プラスチック製品」が広く使われるようになってからです。昔は、里山でとれた木や竹を生活で使っていました(例:薪にしてご飯を炊き、竹を編んでカゴにしていました)。つまり、アシナガが大好きな「大きなドングリの木」になる前に、木を伐採して使っていたわけです。「大きなドングリの木が枯れるナラ枯れ」は、森林の新陳代謝の一つではないか?この後、新たな植生が生まれるのではないか?という考え方もあるそうですが、まだまだ研究段階のようです。アシナガは「地元の森林とどのように付き合っていくのか?」「竹材や木材を循環利用することはできないのか?」を考えるための警笛なのかもしれません。
以上